循環農法について

循環農法を提唱している赤峰勝人氏は、「この宇宙に存在するすべてのものは、循環の中で支え合い、お互いを生かし合っています。何が欠けても何が秀でてもいけません。循環の滞りから、地球も人々も病んでいます。病んだ地球、病んだ人々を蘇らせるには、循環の中で生かされていることを深く理解し、循環に添った生き方をすることだと思います。」と言っています。
循環農法の基本は、「草・虫・菌」がいかに大切かをうたっており、過去の間違いに気づいてもらうためにあえて、「神草・神虫・神菌」という言葉を使っています。
その循環に添った循環農法のポイントを赤峰勝人氏の著書『循環農法』((株)なずなワールド:問い合わせ先 ☎0974-32-7111)より抜粋して以下に箇条書きしました。
これらのポイントを理解してやっていけば、農薬、化学肥料を一切使わず、安全で栄養価が高く、美味しい、見栄えも収量もよい野菜、お米を育てることが出来ます。
天気などの自然条件を観ながら作物が元気よく育つお世話をしていけばよいのです。

1 神草の役目を理解し、草を畑から持ち出さないこと
自然界には雑草という草はないのです。すべての草が光合成と原子の転換を行いながら、働きの違うミネラルを作り出す使命を持っているのです。畑に出てくる草一本一本を大切にし、種が出来てから、土に返してあげて下さい。作物を育てる土作りの主役は草です。
2 神虫の役目を理解すること
健康な野菜であれば虫は少ししか食べません。中まで虫が食べるのは、何らかの原因がある病気の野菜なのです。その病気の野菜を人の代わりに食べてくれた虫たちは、さなぎから蛾となり、交尾して子孫を残すということは出来ません。人を猛毒から守るという役目だけを終えて、そのまま死んでしまうのです。自分たちの使命を果たすために、子孫を残せる虫は、亜硝酸態の窒素を含んでいない、健康な野菜を少しばかり食べますが、必要以上には食べません。わずか下葉の数枚だけで、命をつないでいくのです。「害虫」などと決めつけて、毒殺してよい虫など一種たりともありません。
3 神菌の役目を理解すること
化学肥料の中にはミネラルが入っていません。窒素、リン酸、カリウムだけです。ミネラルがないから、作物は畑の中のミネラルを奪い合っているわけです。それでも長い間、化学肥料を使っていればミネラルは足りなくなり、ミネラル不足になって、作物の細胞が死ぬのです。その死んだ細胞を食べるために菌が働いているだけです。それを見て、「バイ菌」が付いたから病気が出たと勘違いしているのです。「バイ菌」と呼ばれる菌はなく、その場その時に必要な菌が発生するのです。大気中に存在する炭素や窒素に光と水が加わると、菌は自然発生してくれます。菌が出来たからこそ植物や動物が生れてきたのです。そして菌があるからこそ、循環の法則が成立するのです。循環の主役は菌です。
4 旬を守ること
野菜を育てる際、旬を守ることは大切です。なぜなら野菜が旬でない場合は、健康に育ちません。夏に育つ野菜を冬に育てようとすると、ビニールハウスや温室が必要になり、不自然 な 中 で 育 て る た め に 神 菌 さ ん や 神 虫 さ ん が 出 て き ま す 。 出 て き た 菌 や 虫 を 悪 い 物 と 考えて農(毒)薬をかけるのが近代農法の常識でしょう。旬を外れているだけでも私たちの身体に悪いのに、さらに毒をふりかけて食べることになります。野菜本来の役目であるミネラルやビタミンをくれる大切な役目を果たせなくなってくるのです。百姓は、そのような身体に悪い作物を自分にも家族にも、そして自分の野菜を食べてくれる人たちにも食べさせることが出来ません。
5 輪作を守ること
先祖代々続いた日本の農業で、循環を大きく壊している一つに「連作」があります。畑には、毎年同じ場所に同じ作物を作ってはいけないという先人たちの教えがありました。これを今では化学肥料などを入れて大きく壊しているのです。スイカ8年、サトイモ5年、トマト8年という期間は、自然循環で作物に必要な量のミネラルが畑(土)に貯まってくる大切な時間だったのです。この期間を守らなければ病気が出ると教えられましたが、その病気とはミネラル不足で生じる結果だったと解りました。
6 畑や田にできる草を観察して、作付けする物や堆肥の入れ具合を決めること
土が完成するまでの過程に、そのつど必要な草が必要な地点で勢いよく生えてきます。ミネラル不足の畑、特にカルシウム不足だと作物は育ちませんから、カルシウムを多く作り出す竹やススキ、スギナ、笹が猛烈な勢いで大きく生長します。これこそ、カルシウム不足の土にカルシウムを満たしてくれるためで、決して作物の栄養を奪っているわけではありません。ハコベ、ナズナ、オオイヌノフグリ、ハキダメギクなどの薬草が元気よく育つようになった時を0点と決めています。土をこの0点に持っていくには、畑に撒く堆肥を前作いただいた量、例えば10a当たり2tの作物をいただけば2tの完熟堆肥を入れ、微生物や菌が住ん で い る 生 き た 土 ( 同 じ 緯 度 の 山 の 落 ち 葉 の 腐 葉 土 ) を 入 れ 、 そ の 畑 に 生 え て く る 草 の種子ができるのを待ってから、土にすき込んであげます。この作業を毎年繰り返すことによって土は徐々に良くなり、0点になり、ここから循環農法の始まりです。循環農法での田んぼの土の作り方は、畑と同じように草を生やすことです。稲ワラを持ち出したり、焼いたりせずに、稲ワラをすべて田んぼに返します。稲ワラが稲を育て、稲が米粒を作るのです。だから、先ず立派な稲ワラができないとダメなのです。稲ワラを作る一番の肥料は稲ワラなのです。毎年、稲ワラを入れていけばひとりでに土は肥えていきます。